Kuso & Diary

クソエブリディをクソエンジョイするクソ女のクソダイアリー

チーズで出来た脂肪が服を着て歩く

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性欲 睡眠欲と並ぶ三大欲求の一つである食欲

 

そこまでこだわりがないから適当に済ませたり、胃がみちみちになるまで過食しないと満足しなかったり、肥えた舌に合ったものでなければいけなかったり、その満たし方は人それぞれだ。

所謂「みんなちがって、みんないい」というアレ。

 

私は、食に対して ただならぬ熱い情熱と 少年のような冒険心を持つタイプの一人である

 

決められたレシピ通りに作るのではなく、意外性のある食材なんかを組み合わせた時に生まれる未知なる発見や、ほんの少しのひと工夫や手間を加えて

 

「これとこれを合わせるとこんなに美味しいんだ」

 

なんて楽しみながら自らの手でグレードアップした料理を味わいたい。それが私の食欲の満たし方である。

 

 しかし、この熱い情熱と少年のような冒険心は、己を殺す一因にしか過ぎないものであった。

 

 幼少期の頃からとろけるチーズが大好物だった私は、グラタンやドリア  ピザにラザニアといったチーズ無しでは現在の地位を確立できなかったであろうチーズ料理たちを愛するチーズ信者だった。

 

モッツアレラやカマンベールはとろけるチーズとはまた別枠としてとても好んでいたが、ベビーチーズスモークチーズを「とろけないチーズ」「まがいもの」というぞんざいな扱いをするチーズ信者の風上にも置けないアンチでもあった。牛さんに謝れ。

 

今は飲み屋や友人宅で酒のつまみとして出てきた時だけ食べれるようにはなっている。

 

そんなとろけるチーズ無しでは生きられない私は、小学3年生の頃 とある料理に没頭していた。

 

 

 皿に盛ったとろけるチーズを電子レンジで溶かす

それだけの一品である。

 

 

 

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 何を調味料をかけるわけでも、何か入れるわけでも、そこに食材をくぐらせるわけでもない。ただチーズを溶かしてフォークで食べる。

 

この料理の醍醐味は、一つ一つ形になっているチーズが 電子レンジの熱でふつふつと煮え滾るまでの調理光景をガラス戸越しに眺めることにある。

 

とろけるチーズが一番美味しく見えるシーンに「茶色い焦げ目が付きはじめる」「とろ~っと伸びる」といくつか候補が上がる中、私は「チーズの溶けていく様」をとにかく推していた。

 

 それを原点に、チーズ料理が私の冒険心に灯を付け始める。インスタントラーメン  カレー  野菜スープ  目玉焼き  トースト。幼いながらに自分の手で調理できる範囲内の料理に、とにかく溢れんばかりのチーズをトッピングした。

 

チーズを溶かすだけの一品は派生に派生を広げ、いつしか親にチーズを取り上げられ、冷凍庫の奥深くに隠されるといった事態にまで発展する。

 

当時は実感がなかったが、私はチーズ過剰摂取により小学生の平均体重を優に超えていた。

 

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 この後すぐ、地元の小さな会館で週に一回行われていた「体操スクール」なるものに私は通うことになる。

 

鉄棒や跳び箱 マット運動に柔軟体操 ドッチボール 冬にはスキー 夏には一泊二日のキャンプ行事。

 

動くことが大の苦手だった今と変わらない当時の私が、そんな試練のようなラインナップを前にして、二つ返事ですら「いいよ」などと言えるわけがなかった。

 

しかし「お前の仲のいい友だちはそこに通っているよ」「終わったら会館の自販機でミロを買ってもいいよ」というニンジンを目と鼻の先に釣らされた私は「それだったら・・・」とOKを出したという。

 

 とにかく体を動かしてスラリとした女の子になりますように。そう切に願った母は、体操スクールにあっさり通うようになった娘のチョロさに付け込み、それと並行して同じく週に一回「ピープル」と呼ばれるコナミのスイミング教室にも通わせることを割と勝手に決めてしまった。

 

友達どころか知っている子が誰も通っていないし、行きも帰りも一人で送迎バスに乗らなくてはいけない。別に泳ぎたくない。ピープルなんかに行きたくない。そう駄々をこねる私を見かねて、母は

 

プールが終わったらこのお金でジムのアイスを買って帰って来ていいよ

 

と100円玉と10円玉を何枚か持たせるようになった。

 

私は再び「それだったら・・・」とOKを出したという。チョロい、チョロいぞ。水中での運動量がパーだぞ。

 

 この時期は、運動によるカロリー消費にプラスして転校によるストレスが重なっていたらしく、謎のとんでも腹痛や真っ黒い吐瀉物を吐くようになっていたが、おかげでいくらか取り戻したスタイル。

 

背の順で並ぶと後ろから2番目あたりだった私は、それなりにスラリと伸びた足を「お前 いい脚してるな」と父に褒められたり、母の友人からは「めいちゃん 菊川怜に似ているね」なんていう有り難いお言葉まで頂けるようになった。「痩せてるタレントの人に似てるって言われちゃった」と少し嬉しかった。

 

ちなみに父に体のパーツを褒められたことはこれっきりである。

 

しかし痩せた人間の首に食らい付こうとするリバウンドという名の獣がすぐそこまで迫っているのだが・・・。

 

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勝てなかったよ・・・。

 私はそれからも着実に肥えていき、長い道のりの中で幾千ものダイエットにチャレンジしては幾万ものリバウンドを繰り返した。

 

豆腐やワカメなどの低カロリー食品を主食にしてみたり  炭水化物を抜いてみたり  一日の一食をダイエットドリンクやサラダに置き換えてみたり  食事を6時間の内に済ませてみたり  夕飯を18時までに済ませてみたり  食べたものとカロリーを書き連ねてみたり。

 

ダイエット器具も買い揃えたが ダイエットを頑張る人の元の養子として旅立って行った。

 

 きっと22歳になった今も、チーズで出来た脂肪はこの体のどこかに残っているだろう。そんな私は先月エアロバイクを購入し、今もダイエットを続けている。